家族の思い出を思い出していると、祖母のことも思い出します。
優しく、一緒に買い物に行くとおこづかいを必ずくれた祖母。
離れて暮らしていたのでたまに泊まりに来るときには、私が大好きだといったロールケーキをたくさん買ってきてくれました。
私と祖母の最期の別れは突然で、いまだに理解できない部分があります。
そして後悔もしています。
あの時どうして祖母の背中を追うことができなかったのかと思ってしまうのです。
この記事では、突然の家族との別れについて書いています。
突然の別れを経験することで、周りの家族をより大切にする気持ちが生まれました。
家族との関係で後悔を残したくないと思っている人に、ぜひ読んでいただきたいと思います。
目次
私と祖母
祖母にとっては私は4人いる孫の中では特別な孫でした。
初孫であり女の子。
とてもかわいがられていました。
かわいさを通り越してしまい、なぜかかわいそうとか過保護になってしまう部分もあるほどでした。
(そして私の母に叱られていました)
私自身、祖母に特別扱いされていることは分かっていたので、祖母を上手く利用しておこづかいをもらったり、欲しいものを買ってもらっていました。
よくある祖母と孫の関係だったと思います。
認知症になっても孫の名前を忘れたくなかった祖母
祖母が認知症の症状が出ているといわれたのは、亡くなる7~8年ほど前だったと思います。
料理をしていて鍋を焦がしたり、ぼやを起こしたりしたことがきっかけでした。
一緒に暮らしていないのでその様子が理解できなかったのですが、久しぶりに祖母に合うと祖母がなんとなく今までの祖母と違っていたように感じました。
認知症になると人格が変わってしまうというので、私が会った時の祖母は認知症の症状が現れていたのかもしれません。
いつものように話したかったけど、何を話していいのか分からない、現実に向き合うことができませんでした。
祖母自身も自分が認知症になって、いろいろなことを忘れていることは自覚していました。
母親との会話で知りましたが、祖母は
「家族や孫の名前だけは忘れないようにしなくちゃ」
と、娘や孫の名前を一生懸命紙に書いていたそうです。
認知症は自分の意志とは関係なく発症する症状です。
今現在の医学では、進行を抑えることは可能でも治すことはできません。
忘れてしまう思い出を記憶しておきたい、祖母は一生懸命だったと思います。
その努力のお陰なのか、祖母が私の名前を思い出せないということはなく、私も悲しい気持ちになることはありませんでした。
亡くなる1週間前のできごと
その日は祖母の病院(眼科受診)の日で、その日は前日から我が家に泊まりに来るのですが、認知症でいつもと異なる場所にいる祖母は、今までと違ったようでした。
母に夕飯の準備をするから見守っててといわれ、何をしたらよいのかと思いながらぼんやりと祖母を見ていました。
最初はぼんやりとテレビを見ていた祖母でしたが、突然立ち上がり玄関へ向かいました。
「おばあちゃんどこいくの?」
私の声も聞こえないのか、祖母は私を見ることはなく外へ出ていきました。
追いかけなくちゃと思い、私も外に出た時に見た祖母の後ろ姿は、今までの祖母の後ろ姿とは違って見えました。
追いかけなくちゃと思う気持ちはありましたが、どうしてもその背中を追うことができません。
何と声をかけていいのか、そして声をかけた祖母が振り返ってくれるのか?
悲しさと不安、何とも言えない気持ちでいっぱいになり急に悲しくなってしまいました。
この時初めて祖母が認知症になってしまった、今までの祖母とは違うのだなと実感した気がします。
私はどうしても祖母を追いかけられず、母親を呼び祖母を連れてきてもらいました。
戻ってくる頃にはいつもの祖母に戻っていましたが、祖母のことが怖いと思ってしまいました。
これが私と祖母の最後の思い出となってしまいます。
突然の別れ
1週間後、祖母は散歩中に車道を通ってしまい車にはねられて亡くなりました。
連絡が来た時、何が起きたのか分からなかったのですが、とりあえず病院へ向かったのだけは覚えています。
祖母は認知症だったけど、もっと長生きしてくれると思っていて、こんなに早く別れが来るとは思ってもみませんでした。
それは私だけではなく、私の母も一緒に暮らしていた叔父も同様です。
葬式時に叔父は喪主挨拶で
「母(祖母)はあと10年は生きてくれると思っていました」
といっていましたが、それは私達全員の気持ちでもありました。
相手を憎む気持ちも多少ありましたが、ここで亡くなるはずではなかったのにという残念な気持ちでいっぱいです。
私はその気持ちと一緒に、最後に祖母が泊まりに来た時に祖母を追うことができなかった事を後悔しました。
祖母が家から出ていった時に追いかけなかったことは本当ですが、私の記憶は祖母の後ろ姿しか残っていません。
後から母に確認したところ、母に祖母を連れ戻してもらったということが分かったのですが、どうしたら良いか分からなかったといっていたそうです。
もしその日が祖母と会う最後の日だと分かっていたら、追いかけて連れ戻していただろうし、もっと話をしていたでしょう。
あれもしてあげたかった、こんなこともしたかった、祖母と一緒にいたい気持ちが今さらながら生まれてきて、祖母の存在の大きさを改めて感じました。
私が祖母を連れ戻していても現実が変わることはありませんが、私の気持ちの中のモヤモヤした部分はなくなったかもしれません。
まとめ・後悔をしないように家族と過ごすためには
私と祖母の思い出について紹介しました。
祖母の死を経験してから、私は「親に対して後悔の気持ちは持ちたくない」と思うようになり、それからはやりたいなと思うことはできる限り行うようにしています。
昨年の春に父親が倒れて、死も覚悟した時がありましたが、その時も後悔がないようにしよう!とできる限りのことをしました。
できる限りのことをしたおかげなのか?運が良かったのか?父親は一命を取り止め、毎日元気に過ごしています。
祖母への後悔がきっかけとなり、私は家族への向き合い方を考え直しました。
後悔しない人生は送れないと思いますが、家族に対して後悔をしない人生を送りたいと思っています。
家族や親孝行とは無縁と思っていましたが、結婚し子どもが生まれると親と親孝行がとても大切なものなのだなと思うようになりました。
なかなか面と向かって親孝行や家族に感謝するのは恥ずかしく感じることもありますが、恥ずかしがらずに親孝行していきたいと思っています。
まずは家族も親も元気が一番!ですね。