「あなたにとっての家族とは?」
様々な「家族観」に触れることで自分の「家族観」を見つけていくことが出来る家族孝行バトン。
前回インタビューさせていただいた中島さんからバトンを繋いでいただき、
今回は翻訳業をされながら様々な価値観に触れらている方にインタビューをさせていただきました。
家族孝行バトンを繋いで下さった方の記事はコチラ↓
https://media.aoitori.family/forty-family/story6/
目次
プロフィール
お名前:Satoshi(40代) & Hitomi(30代)
出身:山梨県、中国遼寧省
職業:翻訳業
ご兄弟:3人兄弟の長男
子供:1人
どのような家庭で育ちましたか?
僕の家は7、8人で暮らしていたので大家族だったと思います。
僕の両親は共働きだったので、おばあちゃんに育てられたおばあちゃん子です。
おじいちゃんは戦争に行った世代なんですけど、飲んでると戦争時代の話をするんですよ。
「俺の青春を返してくれ。いくらでも払う」と泣きながらお酒を飲んでましたね。
おじいちゃんは、朝6時に家を出て満員電車に乗って定年まで働き、また定年後も経理として大家族を養っていました。自分の時間はなかったと思います。
通勤電車で妊婦さんに席を譲らない若者を見ると、ボッコボコにしていたこともずっと後になってから知りました。40歳過ぎてもそんなことをしてたらしいのです。
70歳過ぎても、路上でたむろしている若者がいると、叱りに行くのではなく「お尻冷たいだろ。座布団敷くか?」といった感じで声かけていました。
正義感強いですよね。
父親は大学を出て、松下電器(現パナソニック)に就職したようです。
当時は既に一流企業として有名だったのでおばあちゃんは嬉しくて。
もう天狗ですよ(笑)
さらに会社の同期の中でも優秀な成績で、仕事ができたみたいです。
でも父は3年で会社を退職しました。
自分の道はこれではないので、と。
当時は一流企業を辞める人なんてまずいない。辞めるのも難しかったみたいです。
父は「家業を継ぐために辞めます」と嘘をついたんですが、上司には「本当のことを言え」と言われました。父は本当のことを言ったんです。
「音楽をやりたいから辞めます」と。
そしたら上司が「それならいい」と認めてくれたみたいで、無事に辞められたようです。
父が会社を辞めた後は、母が公務員として家族を養いました。
父はその後学校の教員になったのですが、自分のやりたいことができないから「学校をつくる」と言って本当につくりました。
今でもその学校はあるんですけど、電波が入らない山奥にあって、競争原理に頼らない教育をする学校です。
家族や学校の影響は大きいと思います。
僕は長男だったのですが、今振り返るとすごい黒歴史です。
長男は、家では弟や妹に威張って「独裁者」じゃないですか。
大人になると、弟や妹の方がどうしようもない長男に痛めつけられた経験か、世渡りが上手いと感じます(笑)
僕が大学生のときに、近所に住んでいる従兄弟が生まれました。
古くからある家だから周りに親戚や地元の人が多いんです。
だいたい30人ぐらいの周りの人たち、近所の人たちに見守られながら育っていて、これは楽しいだろうなあと思いました。
家族は多ければ多い方が、色んな考えに触れることができるので良いと思います。
家族の大切さを感じる瞬間は?
常に大切だと思います。
災害のときとか特に感じますが、いつも大事ではないでしょうか。
僕は大学のときの専攻が哲学で、哲学は言葉を使うじゃないですか。
でも、哲学的な営みに親しくない人と話すとき「これを言ってもいいのかな」と思って不安になったりすることもあります。
でも家族はーー家族だけではなく友人もですが、自分や相手の考えに対して「批判」を超えた存在じゃないですか。好き勝手話せて安心しますよね(笑)
そういう存在は、「doing」ー働きかける存在、ではなくて「being」、そこにただ「ある」かけがえのない存在です。「being」は当たり前の存在すぎて、普段は意識していない。健康も、健康なときは意識されないですが、体調壊したりすると途端に意識される。それと似ていて、家族は普段は意識化されないような、大切なものかもしれません。
家族とやりたいことリスト
お散歩
音楽やダンス
海外で暮らすこと
大家族で育つといろんな意見があるんだ、と実感することができますよね。
言葉を覚えるのも早いし、色んな態度が身につきます。良い態度も悪い態度も。
日本で育つと「同調圧力」が強すぎるでしょう。
みんな同じじゃないといけない。一人違ったことをすると非難されるとか。
海外で育つと、みんなが違っていることが当たり前になる。
僕のパートナーは中国で生まれ育ったので、僕と生きてきた背景が全然違うんです。
考え方もぜんぜん違う。
でもそれが僕にとっては嬉しい、ほっとする。
「違う考えで生きていてくれて、ありがとう」。
お互いの価値観が違うことが楽しい。「そういう考えもあるのか!」と。
価値が違っても「being」な存在になれる。考え方が違っても「そういう考えなんだ」って、認め合えることは幸せではないでしょうか。
色んな価値観に出会うことで、考え方が豊かになっていく。
子供の未来のことを考えると一定期間でも、海外で暮らしてみたいですね。
同世代の方へのメッセージ
親の考え方は、無意識に子供に大きく影響している気がします。
歳を重ねると、自分の考えを押し付けて他人の意見を聞かなくなる、なんて言われたりするじゃないですか。
一昔前はみんなで一つの目標に向かってやってきた時代があったかもしれませんが、今は多様性、そして多様性を認め合う時代です。
人それぞれ「家族」の考え方が違うように、みんな違って、みんないい。
自分の価値観と違う価値観に出会う「驚き」を大切に感じていきたいです。
株式会社青い鳥(https://aoitori.family)
代表取締役 中村 昌史
福岡県宗像市出身
「親孝行」を通じて世の中の家族に幸せを運ぶ事業を行なっている。